この日は麻布に所用があり、ちょうど昼どきだったので麻布十番で昼食を頂くことにしたのです。
新一の橋交差点で悩むことしばし。
どちらも悪くない。実に悪くない。
いやしかし、そう言えば目の前にある「麻布永坂 更科本店」。
この前を何百回も通っているけど、一度も暖簾をくぐったことがなかったのでした。
たまにはさっぱりと蕎麦なんてのも悪くないですね。
入口には英語のメニューもあったりして。
さすがインターナショナルタウンのアザブジュバーン。
「ざる」には"Oseiro garnished with roasted, shredded laver to bring out the flavor"って書いてあります。
「海苔」って"lavor"と言うのですね。
非常にややこしいのですが、麻布十番には「更科」を名乗る蕎麦屋が3軒あります。
- 新一の橋交差点にある「麻布永坂 更科本店」。
- 麻布十番商店街のなかほどにある「永坂更科 布屋太兵衛」。
- 麻布十番商店街の入口に近い「総本家 更科堀井」。
「総本家」やら「本店」やら、どれが本家なのか、どれが正統なのか、訳がわかりませんね。
麻布十番にある「更科」の始祖は江戸時代に麻布永坂で堀井清助と言うひとが興した「信州更科蕎麦所 布屋太兵衛」なのですが、こちらは昭和初期にいちど廃業。
戦後の昭和23年にまず「1」が「永坂更科本店」と言う店名で馬場繁太郎と言うかたの手により開業。
昭和24年には「2」が「麻布永坂更科 総本店」と言う店名で堀井家により開業。
この「1」と「2」の間で商号の使用権について訴訟となったりしたのちに、堀井家の八代目となる堀井良造により昭和59年に開業したのが「3」。
こちらは「信州更科 布屋総本家」と言う名称でしたが、「布屋」の名称の使用可否について訴訟となり、現在は「総本家 更科堀井」と言う名称となっています。
この3店舗のうち、ぼくがガキのころから通っていたのが「2」の「永坂更科 布屋太兵衛」で、いちばん馴染みが有るのですが、最近はちょっとその味わいが落ちているような気がします。
「3」の「総本家 更科堀井」も数回訪問したことがありまして、蕎麦のクオリティ的には」こちらのほうが断然良かった記憶が有ります。
で、この日訪れたのが初訪問となる「1」の「麻布永坂 更科本店」って訳です。
この日は天ぷらと蕎麦を頂くことにしました
天ぷらと蕎麦の組合せは4種類有ります。
- 天もり (2,475円)
- 天せいろ(2,585円)
- 天御膳 (2,585円)
- 天ざる (2,706円)
日本語のお品書きにはいっさい解説が有りませんので、英語版のメニューから転載しますと…。
「もり」:
"Machine-cut soba noodles"
「せいろ」:
"Soba noodles freshly hand-cut each day by our expert chefs"
「御膳」:
"Snow-white, thin-cut soba noodles made using refined buckwheat"
「ざる」:
"Oseiro garnished with roasted, shredded laver to bring out the flavor”
「御膳蕎麦」(他店では「御前蕎麦」と表記)は、蕎麦の実の甘皮を取り除き、中心部分からごくわずかに採れる御前粉を使用した蕎麦。こちらが更科系の蕎麦の代名詞でしょうか。
上品ではありますが蕎麦らしい香りと言う面で劣りますので、あえて「御膳」を外して「せいろ」を頂きました。
- 天せいろ(2,585円)
蕎麦の前に熱々の天ぷらを頂きましょうか。
なかなかの大きさの海老が2尾。
海老はレア感を残したちょうど良い頃合いの揚がり具合。
そのあたりは良いのですが、衣がいわゆる「花揚げ」なので、ちょっと衣の存在感が強すぎるような気がします。もちろん天丼などで頂くならこれで良いのですが。
蕎麦はさほど主張が強い部類ではありませんが、コシの強さが印象に残ります。
このハリの有る食感、けっこう好きです。
喉ごしもよく、風味もまずまず。
老舗らしく手堅く安心感有る味わいでしょうか。
お値段は2,500円オーバとちょっとお高い印象もありますが、麻布十番と言う場所を考えればまあまあ納得感の有るお会計でしょうか。
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・店名 麻布永坂 更科本店
・住所 東京都港区麻布十番1-2-7
ラフィネ麻布十番 1階
・電話 03-3584-9410
・備考 特になし。
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