この日は忘年会第1弾と言うことでグルメな友人たちとちょっと豪華なランチを食べに出かけたのでした。
麻布の実力派フレンチ「ラ・リューン」。
「銀座はち巻岡田の鮟鱇鍋を食べないと冬が来ない」と書いたのは直木賞作家で食通の山口瞳氏でしたが、ぼくの友人は「ラ・リューンのジビエを食べないと冬が来ない」と言います。
そう言えば前回「ラ・リューン」を訪問したのも冬でした。
ランチはmenuA(4,950円)とmenuB(7,700円)の2種類なのですが、この日はmenuBをベースとして、前菜にシェフのスペシャリテ、メインディッシュにジビエを入れて少しカスタマイズして頂きました。
前菜の前に「突出し」と紹介されたのがこちら。箸で頂きます。
わかさぎのフリット、イタリアのサラミ、ピクルスとパルミジャーノレッジャーノ。
これ、呑兵衛にはたまらないセット(笑)。
前菜のひと皿目は本来はmenuBには入っていない永田敬一郎シェフのスペシャリテ。
- 雲丹とカボチャのソルベ 茄子の煮浸し コンソメジュレがけ ライム風味
魚介と野菜、コンソメジュレと言うコンビネーションはほかのレストランでも見かけますが、こちらでは茄子を使っているところがユニークですね。
雲丹の濃厚な甘さと優しいカボチャの甘さ。そしてすっきりと味を引き締めるライムの酸味。
いつ頂いてもスペシャリテと呼ぶにふさわしい完成度に感心します。
次のひと皿目が本来はコースのひと皿目の前菜。
- ボタンエビ ビーツとフランボワーズ
赤で統一された鮮やかな色彩に目を奪われるひと皿、艶やかなジュレに透けて見えるのは牡丹海老。
牡丹海老の持つ素材の甘さとビーツの淡い甘さ、そしてフランボワーズの華やかな香りのコンビネーションがユニーク。
- フレッシュフォアグラのポワレ 栗のピューレ
可憐なビジュアルのひと皿の次は一転してクラシカルな趣の有るフォアグラのポワレ。
シードルビネガーの爽やかな酸味がフォアグラの重量感ある風味と栗の滋味深い甘さを引き立たせます。
そしてお待ちかねの肉料理。
- 蝦夷鹿と牡蠣のポワレ ソースポワブラード トリュフ風味
menuBの本来の肉料理は岩手産の短角牛のポワレ。
そちらも捨てがたいのですが、本日はジビエに変更しました。
「ラ・リューンのジビエを食べないと冬が来ない」ですからね(笑)。
この日の蝦夷鹿のポワレには「シンタマ(芯玉)」と呼ばれるもも肉の部位が使われていました。
そして蝦夷鹿の上には牡蠣、ピエブルー(紫しめじ)、タルティーボと言うコンビネーション。
蝦夷鹿のシンタマはしっとりと繊細な食感でした。
味わいもあっさりすっきりとしたものなので、ジビエらしい力強さを期待すると肩すかしを喰らいますが、先入観なく頂くのであれば実に上品で洗練された味わいを楽しむことができます。
ソースは鹿肉には定番の、胡椒の風味を効かせたポワブラードですが、そこにはふんだんにトリュフが投入されていてリッチな風味を加えています。
充実したランチの最後を飾るデセールがこちら。
- 和栗のモンブラン ヨーグルトソルベ
このモンブランが絶品でした。
正直、モンブランってそんなに好んで頂くガトーではないのです。栗のペーストがもそもそしていたり、甘さが重すぎたり、モンブラン全般にあまり洗練された印象を持っていなかったのがその理由です。
しかしこのモンブランの完成度には脱帽。
滑らかで栗の風味をしっかりと残しながらもスッキリとした甘さに抑えられたマロンペーストに、軽やかなメレンゲ。かように洗練されたモンブラン、初めて頂きました。
すばらしいコースに本日も大満足でした。
ひと皿ひと皿の料理から食材に対する深い洞察が感じられる点も「ラ・リューン」の美点でしょうか。
一例を挙げると、たとえば牡丹海老を使った前菜。
単にビジュアルのインパクトを狙って赤い素材を組み合せているのではなく、そこには同色系統の食材同士は相性が良いのではないか、と言う永田敬一郎シェフ独自のインサイトが込められているそうです。
確かな技術に裏付けられた芳醇な味わいが楽しめる麻布の佳店です。
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・店名 ラ・リューン
・住所 東京都港区東麻布2-26-16
・電話 03-3589-2005
・備考 麻布の良心。
・参考記事 2020年12月21日「東麻布 ラ・リューン」
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