おもしろく、そして考えさせられる書籍がありました。
松本栄文著「SUKIYAKI すき焼き 可愛いは、美味しい。」
表紙の迫力あるすき焼きの写真に目を奪われてたまたま書店で手に取り、ページを繰っていくうちに本の内容に引きずり込まれていきました。
書籍の題名に「すき焼き」とありますが、この本はすき焼きの名店を紹介する本でも、おいしいすき焼きの調理法を指南する本でもありません。
この本は、松坂牛の肥育農家である森本家で育てられた「てるよし」という雌牛の一生を追いつつ、食文化を考察したもの。
手塩にかけて育てられた「てるよし」はやがて立派に成育し、松坂の老舗すき焼き料理店「牛銀本店」に競り落とされます。
競り落とされた成牛は、そう、屠殺場に向かうことになります。最高級の松坂牛の場合、農家の方が屠殺される直前まで牛にブラッシングし一緒に付き添っていることを初めて知りました。
枝肉になった「てるよし」は「牛銀本店」でゆっくりと熟成され、食べごろを迎えてようやくお座敷にデビューするのです。
こう書くと、とても残酷な物語のようですが、客観的かつ冷静な筆致による解説と静謐な描写の写真によって、過度のセンチメンタルは排除され淡々と物語は進んでいきます。
しかし、読了後にはいやが応でも、ぼくたちの毎日の食事は貴重な命の犠牲のうえに成り立っていることにあらためて気づかされます。
肉であれば、その命を育む生産者の方がいて、その命を食肉に加工するひとがいて、その命を料理というかたちに昇華させるひとがいて、はじめてぼくたちはおいしい料理を食べることができるわけですね。
この本には、そのほか、すき焼きの道具、味付け、肉牛の種類や部位による味の違いなど、すき焼きというシンプルな料理をさまざまな角度から考察したセクションもあり、なかなか読み応えがありました。
思わず買おうかと思ったのですが、本のお値段、3,800円。
…むー。高い。あと190円足して3,990円出せば「今半 有楽町店」の昼会席が食べられるぜ、と思って本を閉じて戻しました。
はい、木曜日の夜もLifeTeriaブログの時間です。
昨夜は2回大きな地震があり、ドキリとしました。
二度目の地震、21時過ぎの千葉県東方沖を震源とする地震の際は久しぶりに緊急地震速報のイヤな音を聞きました。
ちょうどその二度目の地震のときに食べていたのがこれ。
「素饍齋(ソソンジェ)」の参鶏湯(サムゲタン)セット(2,200円)。
先週の月曜日にこのお店で「骨付きカルビチムセット」を食べておいしかったのでこんどは参鶏湯です。
セットの内容は、一人分の参鶏湯に小鉢が3皿とご飯。そして小さなデザート。
肉のボリューム的には先週食べた「骨付きカルビチムセット」に軍配が上がりますが、なかなかおひとり様用の参鶏湯ってありませんから、こういうセットになったスタイル、便利ですよね。
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・店名 素饍齋(ソソンジェ)銀座三越店
・住所 東京都中央区銀座 4-6-16 銀座三越11階
・電話 03-3561-7050
・備考 23時まで開いています。
・オススメ ☆☆☆★★(3点:けっこうオススメ!)
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