ほんとうにひさかたぶりの出張で北関東、栃木県の那須塩原市まで出かけてきました。
雲がやや多かったものの、皐月の明るい日差しを浴びた新緑が水田の水面に映る様子がなんとも日本的で心が安らぎました。
重厚な造りの日本家屋、青緑に霞む山々、鬱蒼と暗い鎮守の森。
数百年もの間それほど姿を変えず、往時の景色を今に伝える、日本の原風景とも言えるこういった景色は世界に誇れる美しいものと思いますが、これをぶち壊すのが新幹線の沿線にずらり建ち並ぶ企業の広告の看板。
無粋とはこういうことを言うのでしょう。
東京都では2007年から景観条例で歴史的に価値のある区域、臨海部などの屋上広告を禁止しました。日本には美しい田園風景を始め、たくさんのすばらしい風景があります。東京だけでなく、日本全体で看板の制限ってできないものでしょうか。
翻って、今回の震災で未曾有の被害を受けた東北地区。
まだまだ日々の暮らしにさえ困窮する状態ですが、この復興の過程を第二次世界大戦後に急速に失われてしまった美しい東北の風景を取り戻すきっかけに、という期待の声もあります。
山本周五郎は名作「青べか物語」の終章で、30年ぶりに訪問した浦安町(作中では「浦粕町」)について、このように書いています。
1960年のことですから、今から半世紀も前のことです。
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これが広い荒地の中に、澄んだ水を湛えていたあの一つ入だろうか。藻草が静かに揺れている水の中を覗くと、ひらたというからだの透明な小さな川蝦がい、やなぎ鮠だの、金鮒などがついついと泳ぎまわっていた。私が青べかを繋いで鮒を釣った川やなぎの茂みはどの辺に当たるのだろうか、いまでは底が浅くなり、灰色に濁って異臭を放ちそうな水が、流れるでもなくどろっと淀んでいる。日本人は自分の手で国土をぶち壊し、汚濁させ廃滅させているのだ、と私は思った。(中略)川は悪臭を放つままに任せ堀は片っ端から埋め、丘を削り、木という木は伐り倒し、狭いでこぼこ道に大型バスやトラックが暴走し犇き、空地にはむやみ無計画にアパートを建て並べ、公明選挙だといわれるのに何十億とかの金が撒きちらされるという、──よそう、私は本当はそんなことに怒りは感じてはいない、日本人とは昔からこういう民族だったのだ。
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周五郎が変わり果ててしまった浦安を嘆いてから半世紀。
安全で便利な生活を享受しつつ、日本的な美しい風景を取り戻せないものでしょうか?
はい、LifeTeriaブログの時間です。
昨日に続きスイーツのネタを。
せっかく日本的なもの、の話題に触れましたので、和のスイーツを。
先日頂いた京都は大原、「豊寿庵」の大福です。
ここの大福、定番の漉し餡やつぶ餡といったものだけではなく、ブルーベリー、ずんだ、カスタードなど変わりダネの大福も人気なんだそうですが、頂いたのは「塩こし餡」「塩つぶ餡」「塩よもぎ」の3種類。
餡にこだわり北海道十勝産の小豆のみを使用しているそうで、その上品で後味のすっきりした甘さに、日ごろあんこものはあまり食べないぼくもおいしく頂きました。
ごちそうさまでした!
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