だいぶ前に読んだ本なのですが、東京大学名誉教授である畑村洋太郎氏の「失敗学のすすめ」の中に興味深い一節がありました。
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その三陸海岸の町々を注意しながら歩いてみると、あちらこちらに津波の石碑を見つけることができます。大規模な津波が押し寄せるたびにつくられたもので、犠牲者も多かった古い時代の石碑は慰霊を目的にしていました。その中には、教訓的な意味合いが込められたものもあり、波がやってきた高さの場所に建てられ、「ここより下には家を建てるな」という類の言葉が記された石碑も少なくありません。上の写真を見てください。(サイキ注:石碑と石碑のすぐ下に建てられた民家が写っている写真)この石碑にはここより下に家を建てるなと書いてあるのに、そのすぐ下に家が建っているのです。日々の便利さの前にはどんな貴重な教訓も役立たないことを物語っています。
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畑村洋太郎氏は「失敗学」を研究している方で、この一節は、失敗はなかなか共有されず、そして失敗はすぐに忘れ去られてしまう、という例としてあげたものでした。
みなさんは忘れられない失敗ってありますか?
え?二兎を追いつつさらにもう一兎を追いつ追われつしていたらいつのまにか全部の兎が他のハンターに仕留められていた?
…そんな失敗は知らんがな。
一兎を追って一兎をも得ず。
二兎を追っても一兎をも得ず。
三兎を…。はい、LifeTeriaブログの時間です。
世界を見回してイタリア以外でいちばんイタリアンがおいしい街は日本と良く言われます。
特に東京はイタリアン天国。
オーセンティックなリストランテはもちろんたくさんありますし、本場のイタリアンの文法からは逸脱していますが、日本的な食材使い、美しくデコラティブなプレゼンテーション、多皿からなるコース構成などを特徴とする「トーキョー・イタリアン」なるジャンルもすっかり市民権を得たように思います。
ぼくはフレンチもイタリアンもどちらも大好きですが、フレンチが「ソースが重たい」「なんかかしこまった感じがイヤ」などと敬遠されがちなのとは対照的に、イタリアンを嫌いというひとは少ないですよね。素材の味をストレートに表現する調理法、料理のシェアにも寛大でなんとなく楽しげな雰囲気、そういった親しみやすさがイタリアン隆盛の理由でしょうか。
そんな今では人気者のイタリアンですが、昭和40年頃の東京には、イタリアンレストランなんて1954年(昭和29年)にオープンした六本木の「ニコラス」、1960年にオープンした飯倉片町の「キャンティ」、そして1965年(昭和40年)にオープンした六本木の「シシリア」くらいしかなかったと言います。
「イタメシ」なんてヘンなことばがはやる遥か昔のことです。
この3店、21世紀の今日でもいずれも賑わっているんですから、栄枯盛衰の移ろいの早い飲食業界においてその長寿っぷりは驚くばかりです。
さて、本日はそのシシリア。
六本木店ではなく銀座の外堀通り、銀座日航ホテルの向かいあたりのビルの地下にある「リストランテ ギンザ シシリア」です。
リストランテなんて付いていますが、要はナポリタンとピッツァを食べに行くお店です。
こんな書き方をするとバカにしているように受け取られるかもしれませんが、そうではないんです。
確かに、ナポリタンなんて本場・イタリアにはないかもしれません。でも、ウマけりゃ別にそんなことどうでもいいじゃないですか。
本場の調理法にとらわれない独創の「トーキョー・イタリアン」のルーツは「シシリア」かもしれません。
もうひとつの名物は四角いピッツァ。薄くクリスピーな生地がウリです。
・グリーンサラダ
・チョリソとウィンナーの盛合せ
・ナポリタン(大盛り)
・ミックスピッツァ
これでひとり1,500円。安くて腹一杯。
こういうお店にはこれからもずっとずっと続いてほしいものです。
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・店名 リストランテ ギンザ シシリア
・住所 東京都中央区銀座8-2-8 京都新聞銀座ビル地下1階
・電話 03-3572-7828
・備考 スパゲティ&ピッツァ屋さんと思って下さい。
・オススメ ☆☆★★★(2点)
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